甘毒





Ver.犬飼 2


思い出したくもない嫌な場面を(強制的に)目撃して一晩明けた。


あいつは顔色が悪い。

あんな抱かれ方されちゃ無理もねえよな…。
そう思いながら、あいつの肩に触れようとする。

そんな自分も切羽詰ってると、かなり自覚できる。


こいつを思いやるフリをして、触りたいのは自分なのに。


だけど。


パシ


ムカつくほど小気味いい音を立てられて、オレの手は振り払われる。

相手は見なくとも分かっていた。
牛尾主将だ。


「触らないでくれるかな?」

不愉快さを隠しもしない、あからさまな態度。
やっぱり確信犯か、このキツネ野郎。

昨日の夕方までなら、この人にこんな顔されたら落ち込んでただろうけど。
今は反吐が出るだけだ。


あるだけの憎悪をこめてセンパイを睨みつけた。


だが、やっぱりこいつは屁とも思ってねー。


隣に居る猿野は、何を言うんだ、という眼をしてる。
もうオレは知ってるのにな。


ふと、今更な疑問が頭を浮かぶ。


お前は、センパイが好きなのか?



もしそうなら、オレはここで目くじらを立てる意味なんて…。


ない、のだ。


ドクリ と胸がうずいた。


だが、ご丁寧に変わりに答えてくれた相手のおかげで、また忘れた。


「彼は僕のものだよ?」


「…っざけんな!!」


「何を怒ってるんだい?君には関係ないことだろう?」


「!!」


「ああ、そうか…君も彼が好きだものね。」


オレの癇に直に触るセリフを立て続けられ、オレはブチ切れていた。



バキィ


気付けば左手でソンケイスルセンパイを殴っていた。


センパイは、衝撃のまま地面に叩きつけられる。



「やめろ!犬飼!!」

目の前のコイツが止めに入った。


周りも衝撃の眼で見つめてくる。


でもオレは、ひとつのことに思考をしばられていた。



おまえは あいつが 好きなのか?



                                     To be Continued…



短い言葉の羅列ばっかりですが、一応意味を持たせるつもりで書いてます;
一応ですけど…。

多分かなり後味の悪い終わりかたになるかと…。
すみません、そういうの大好きで;;;

そしていつもいつも時間ばっかりかかって申し訳ありません!!


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