フラスコ
コポコポコポコポ
科学の実験の最中。
公立高校らしく特別な設備があるわけでもないごく普通の理科室。
とりあえず色の変化とその温度を調べる必要があるので、中をじっと見つめていた。
「蛇神くん、変化はあるかな?」
「否。もうしばらくかかりそう也。」
観察にはもってこいの人材であることは自覚がある。
記録に関しては牛尾に任せよう。
見かけどおりまじめで几帳面な男なのはよく知っている。
そう思いながら、視線を元にもどした。
思考は断ち、視線を集中させる。
フラスコ内の液体は変わらずに音をたてた。
コポコポコポコポコポコポコポコポコポ
気体がつぎつぎと湧き出てくる。
「あ。」
ふと、牛尾の声が後ろから聞こえた。
用があるのかと振り向くと、窓の外を見ていた。
牛尾が授業中に外を見るとはめずらしい。
なにかあるのかと思い、自分も外を見る。
するとそこに。
「…体育か。」
「は?」
うっかり口にすると、同じ班にいた柿枝が驚いた声をあげた。
何を言ってるんだという顔で、彼女も外を見た。
すると納得したような顔をする。
「ああ、なるほどね。」
何度もうなずきながら牛尾を自分を面白そうに見つめた。
「あ、はは…。」
「……。」
彼女には我々の想いはすべて知られている。
今更という気はするが…。
やはり気恥しい。
「あんたら二人、思った以上にムッツリだったわけだ。」
「…以上?」
「……どう思ってたんだい…柿枝くん…。」
「や、そりゃ健全なる高校男子だしね。そこそこむっつり?」
「…心外也…。」
自分としては禁欲的に生きていたつもりだったのだが。
少し気を悪くすると、柿枝は声をあげて笑いだした。
「そりゃ今年あいつが入学する前までの話だろ。
蛇神も牛尾もさ。」
「「……。」」
そう言われて、牛尾と二人で顔を見合し。
長い溜息をついた。
そして同時に、窓の外を見下ろす。
そこには、眩しく笑う後輩が。
猿野天国がいた。
「おーい、そこ。とっくに色変わってんぞー。」
end
久々にお題です。短くなりましたけど;;
というかお題にそってないな…。小道具として使ってるだけですね。
このお題ヴァン・ヘルシングで一度書いたんですが、不注意でポシャりましたので1年ぶりに書き直しました。
まったく別物になって。
とりあえず実験する三年重役組です。
これ書いてるとき陣内智則のネタ思い出してたりしました。
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