たとえ中にいる学生がどうあれ、学校というものには本のある場所がある。
その最たる場所は図書室。
普段は当然のごとく人影なし。
その中で、素行に問題は出てきたものの(本意ではないらしいが)一応優秀な成績の学生である神山は、
時折この静かすぎる図書室を利用していた。
形だけのようなものとはいえ、それなりに本はそろっている。
読書が趣味(たぶん)の神山にとっては落ち着く場所である。
そんななか、珍しく神山は二人でこの場所にいた。
クラスの友人である前田だった。
図書館に行くことを告げると、何を思ったのかついてきたのだ。
「へー、このガッコにもこんなとこあったんだな。」
「そりゃあね、不良高校といえども学校という形式をとってる以上はこの場所も必要だろうからね。
まあ今のところ他に人がいるのを見たことはないけど。」
「そりゃ本なんか読んだら頭痛くなるよーな連中ばっかだからな。」
「君も含めてね。」
さらりと毒を出す神山に、前田はひきつる。
この優しげな同級生は言動が意外と厳しい。
「お前な…。」
「そうだろ?
それとも前田くん、趣味で本開いたことあるの?」
ひょいひょいと重たそうなタイトルの本を選びながら、神山は事実という名の毒舌を続けた。
「ねーよ;」
それ以外に返しようのない答えを返した。
前田は一息ついて、思った。
自分は何が悲しくてこいつのそばにきたのか。一瞬本気で悩む。
それでもなんとなく来た。
それでさっくりバカにされてると本気でバカをみた気になる。
このまま終わらされるのも嫌だと思うと、
前田はふと以前から思っていた質問をした。
「…てかさ。
お前なんてこの学校来たんだ?」
「ん?あー…。」
神山は前田のほうを向こうともせずに、
もくもくと本を選ぶ手を止めずに、
少し間をおいて答えた。
「追っかけ。」
少し違って聞こえた声に
どきり、とした。
誰の、とは聞けなかった。
「さ、帰ろうか。」
振り向いた神山はいつもどおり、
あまり変わらない表情で前田に言った。
「あ、ああ…。」
そしてまた神山について行く自分の気持ちが
すこし形を見せたような気がした。
end
誰も望まない「魁!クロマティ高校」…。
個人的にかなり好きなマンガです。
アニメも面白かった。神山君かっこいいです。
なんせ声が櫻井さんですから。(笑)
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