「海が見たいって云ってたよな。あんた。
見に行かねえか?」
「…。」
「何だよその顔。」
「いや、意外だと思ってな。
そんなことを覚えていてくれるとは。」
「…なんか引っかかる言い方じゃねえか?」
「気のせいだろう。」
「それで?行くの?行かねえの?」
「勿論連れて行ってもらおうか。
せっかく覚えていてくれたのだから。」
「…仕方ねえだろ、忘れられなかったんだからよ。」
死んだときにもまず思ったのはそれだった。
約束守れなかったよな、とか。
また会いたかったのに、とか。
…殺しにいく相手だったんだけどな、その時は。
でもまた生まれて、また会えた。
その間ずっと覚えておくつもりはなかった。
ただ忘れなかっただけ。
仕方なかったんだ。
「これからだって忘れねえんだろうな。」
「…ものすごい殺し文句だな。」
「そりゃよかった。
…マジで殺されるのはもう許さねえけど?」
「大丈夫だろう。
お前がいるからな。」
やわらかくほほ笑む。
こんな顔を見てると、あきらめに似た気持ちになる。
どうせずっとアンタのことが好きなんだろう。
でも、それもいいけどな。
end
実は転生ネタでした。甘劉。
さらにマイナーに走ってます。
行きたいとこまで行くとしましょう;
戻る