音もなく朽ちようは、それだけは真実


体にウルフマンの毒が流れていく。


くずれる。くずれる。



今、私は消える。



首から体が毒に溶かされる。



私はここまでか…。
ふと、視界に「かれ」が映った。


(…エル…。)




朽ちていく視界の中で、過ぎ去った時間の記憶が蘇る。

その中で忘れていたことを思い出した。




伝えていなかったことを。




「Te iubesc…」




ぴく、とウルフマンの体が一瞬止まった。


ああ残念だな。

もう時間だ…。



あれほどに執着した生だが、あっけないものだ。
でもどこか満たされている。




なぜかな。




…真実を取り戻したからかもしれない。



なあ…。



……אל…。



end



えー、ところどころどこかから探してきた言語を入れてみました。
「」内の言葉はルーマニア語で「愛してる」です。
最後の文字はヘブライ語の「エル」
天使の名前の最後につく文字だそうです。
本来は「神の意」ですがこの場合は「天使」の意味で伯は言ってますのでよろしくv


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