部活を終えたいつもの放課後。
この日も猿の天国は疲れているはずの体をものともせず
(すくなくともそう見せずに)
女子マネージャーの手伝いをしていた。
彼が好きな相手である凪のために行動していることは、周知ではあったが。
元来フェミニストなのか、天国は他の女子マネージャーの仕事もすすんで手伝っていた。
その姿に最初は下心の存在を敏感に感じていた女子マネたちも、
現在は軽口をいいながらごくふつうに接するようになっていた。
それがはじまり、もう2年半。
1年生だった天国も…そして彼女となった凪も3年となり、部活を許される時間は残りわずかとなっていた。
そんな中で。
女子マネの一人、清熊もみじは一人心を迷わせていた。
理由はひとつ。
引退を迎えるまでに、ずっと抱いていた想いを伝えるかどうか。
引退すればクラスも違う彼…天国と会う機会は激減する。
こうやって毎日会えたのも、同じ野球部というつながりがあったからだ。
それでも今まで言うことはできなかった。
最初に会ったときから、自分が天国にしてきた行為を自覚していたから。
好きだと気付くまで、何度も何度も。
蹴りをくらわせ、正拳をつき、初対面の時は自転車でひいたりもした。
凪を守るという名目でデートの邪魔もした。
嫌われていても当然と言えた。
でも、天国はいつも自分にも笑いかけてくれた。
こんなにも長い間、暴力をふるう自分にもわけへだてせずに。
夏が終わり、凪と天国が付き合い始めてからやっと気がついたのだ。
言っても仕方のない、伝えても実るはずのない思い。
それでも。もう会えないなら。
もみじは心を決めた。
「あの…猿野…。」
「あれ、もみじ様?なんか用か?」
「いや…えっと…あのな。」
「うん?」
「……。」
伝える態勢は整ってしまった。
好きだと言っていいかな。
「オレ…お前のこと…。」
end
はい、お絵かき掲示板から再録です。
少女マンガ熊猿…。もみじちゃんはツンデレと信じてやみませんvv
戻る