かみさまのことば



※「戸惑」ネタです。




「いいわよ みくるちゃん、言っちゃいなさい。」



「世間に白眼視されても手に手を取り合って強く生きていくんですって!」



言うことを聞かない彼に力付くで体温を計ろうとして、
うっかり彼を押し倒す形になってしまった。



その瞬間を涼宮さんに見られた時、内心凍り付いていた。

今回は(神に誓って)事故だけれど、
過去数度、故意にこの体勢でいることがあったからだ。


そう、僕と彼は事実恋人と呼べる関係だったのだ。


それを、彼を独占したがる神…涼宮ハルヒに見られた事は。
世界の崩壊の直接の起因となる。


だから僕も彼も、ごまかす道を反射的に選択していた。


そして彼女から言われたのは、冒頭の一言だった。



「いいわよ」

「手に手を取り合って強く生きていくんですって。」



どくりと胸がうずいた。


違う。分かってる。
彼女は苛立って心にもないことを言ってるだけ。

それでも、聞きたくなった。


かみさま、彼の手をとってもいいのですか?

彼をあなたから奪ってもいいのですか?


いいわけないのにダメじゃないですか。
そんな事を言ったら。



僕の決意を固めてしまう。

いやそれは違いますね。


僕はもう決めていますよ、かみさま。
彼の手はもう離さないと。



「これは、見られてしまいましたね。困りました。」


僕は目の前の恋人に笑顔を向けた。

少し引き攣った神様の顔を見ないフリをして。


End




「戸惑」古泉くん初期イベントより。
あのスチルを見た時からなんとなしに考えてた古泉くんの心の内です。
ちょっと黒めでしょうか?



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