心声 side K
なあ、お前はどうしたい?
いつもの通り一方的な展開のオセロの盤を挟んで、
俺は目の前のにやけ面に声もなく問い掛けた。
こいつは俺を普通の人間だと思っているが。
実をいうとそれは完全に正解とは言えない。
何故かって?
簡単な話だ。
俺には人の感情を感じとる力があるからだ。
まあ考えてる事が一字一句解るとかじゃないけどな。
ただ側にいる奴の喜怒哀楽がわかる程度だ。
距離にして大体半径5メートルくらいなら、かなり正確だ。
だからちょっと勘が鋭い奴だとか思われるくらいで、
今まで生活に困る事は…、なかったとは言わないがな。
そりゃ人の感情が流れてくるんだ、疲れないわけはない。
けど15の年もすぎれば、
流れてくる他人の感情にも慣れてきてはいた。
古泉もハルヒの感情トレースが出来ると聞いたから、
まあそれと似たようなものだろう。
確かにハルヒの感情は半端なしに上下するからな。
それに対処するのは吝かじゃない。
あんな生物兵器もどきを多発させたいと思うほど異常なアタマは持ってない。
ハルヒの感情の上下も予想がつくようにはなってきた。
…しかしだな。
正直に言おう。
目の前の男に向けられた種類の感情には断じて慣れん。
というかこんな明確な恋愛感情自体初めてだ。
その辺のカップル同士でも感じた事はねえぞ?!
しかも向けられてんの明らかに俺だし!
ありえねえだろ…;
いや、現在進行形で感じまくりなんですが。
しかし俺が言うのもなんだが趣味悪くねえか?
俺はこの能力以外は平凡を地で行く、しかも男だぞ?
…いいのかよ、
ほんとに俺で。
こんな美形のくせしやがって。
あー分かってるよ。
俺はもうほだされてる。
…仕方ねえだろ。
顔あわすたびに感じるんだぞ?
俺を好きだって気持ちが、
抱きしめられてんのかと思うほど古泉の感情が覆ってくんだぞ?
最近はハルヒたちと話してる時の怒りの感情も強くなってきやがって。
多分嫉妬だろう…な。
自意識過剰だったらまだよかったよってなくらいだ。
どんな独占欲だよ?
…けどこんな好かれるの
…マジで初めてだからな。
くそ。分かってるんだよ。
ああ、俺も古泉の事好きになっちまった。
こうなったら…俺の方が動くしかないんだろうな。
けど、不安もある。
こいつの気持ちは疑いようがないんだが。
…機関の事とか考えたら断られるかもな。
けどな古泉。
勝手だけど俺だって知ってて欲しいんだよ。
お前が悩む程お前を嫌ったりしてないってな。
ちゃんと、好きだよ。
お前の事。
「なあ、古泉。」
「はい?」
古泉は落ち着いた笑顔を見せた。
内心緊張しまくってるけどな。
今からお前は少しは笑ってくれるか?
それは神のみぞ知る…かな。
End
ふと思いついたテレパスなキョンくんです。
ちなみにハルヒたちの恋愛感情はまだ淡いので、キョンは普通の好意と認識しています。
それだけ古泉くんの感情が強烈だった、ということにしてください(笑)
この話の古泉くんサイドもいずれ書きたいですね。
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