「おいこら。」
 「んー?」
 
 
 煙草
 
 
 
 屋上でタバコすってたのは、よく知ってる奴。
 
 
 
 「猿のくせに1人前にタバコか。」
 「ほっとけ。タバコの味も知らねーお子ちゃまワンコが。」
 
 このバカ、こっちを見もしねー。
 とりあえずムカつく。
 
 そう思って、猿野の口からタバコをとりあげる。
 
 そしたら怒って、こっち向くだろ?
 
 「てめ、邪魔すんじゃねーよ。」
 案の定、こっち向きやがった。
 
 
 「とりあえず、タバコはやめとけ。背伸びなくなるぞ?」
 「むか。あー、おめーはいいよなっ育ちきってんだもんよ!!」
 「じゃあタバコやめるんだな。」
 
 「おめーの言う事聞く義理はねーよ。」
 
 
 それだけ言うと、またそっぽむく。
 こいつが見てるのは…空。
 
 さっきまでのタバコの匂いが少し残ってる空。
 
 何かムカつく。
 
 
 
 「ん…ぐぅっ?!!」
 
 ムカつくから、こいつの肩を引き寄せて。
 顔、こっちに向けて。
 間髪いれずに。
 力ずくで。
 
 
 
 キスした。
 
 
 
 にがい。
 
 
 けど。
 
 
 甘い。
 
 
 
 「てめー!!何しやがる!!」
 
 「…タバコ味。」
 
 
 にっと口元を上げて、してやったりの顔。
 
 「むぅ…。」
 猿野は、顔を赤らめてそっぽむく。
 
 またオレから眼をそらしてるけど。
 すげー可愛い。
 
 
 「とりあえず。」
 「あぁ?!」
 「もっかい。」
 それだけ言うと、もう一度猿野の唇を味わいに行く。
 
 
 
 「だー!!やめんか、この変態わんこ!!」
 「とりあえずうるせー。」
 「いやーーーっ明美の貞操がああっ!!」
 
 
 結局もう一回猿野の唇をGET。
 
 両手で顔を固定して。 
 唇に触れる。
 柔らかくて、暖かくて。
 こいつだけのにおいと、タバコのにおい。
 
 全部まざって。
 
 何故か、たまらなく甘い。
 
 
 
 
 とりあえず。
 
 
 タバコのにおいも、悪くない。
 
 
 
 かな?
 
 
 
              end.
 

 榎雫セガキさまに相互リンク記念におしつけたブツです。
単なるポエムだよ…。(汗)

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