強く儚い者たち





 「まちやがれカブ野郎〜〜〜!!!」



 「・・・帰るぞ  時間のむだだった。」


 

 「もう、兄ちゃんムチャクチャだよ!!いきなりつっかかっていくんだもん!」
 「・・・・///(こくこく)」

 卍高校との対戦はお流れになり、早くから帰途についた十二支高校のメンバーは、
その日の猿野天国のあまりに無謀な行動に感想を述べていた。
 心配と、からかいが半々で交じっている言葉に、天国はめずらしく終始無言だった。

 「猿野君?」
 珍しく静かになった天国に、同じく1年の辰羅川が声をかける。
 「・・・あ、わりぃ。なんだ?モミちゃん?」
 「モミちゃ・・・(汗)。いえ、随分静かでしたから。」
 にこっと笑顔で返す天国。
 しかし、何かを抑えた笑顔は、いつもとは明らかに違っていた。


 (あの屑桐無涯の球・・・。流石の猿野君も恐れを抱いたと見えますね。)


 辰羅川はそう思った。

 華武高校のエース、屑桐無涯。
 天国は十二支を明らかに卑下し見下す彼に一球勝負を挑んで、負けた。

 そのあまりの力の違いに恐れをいだいたのでは。


 そう考えるが自然だった。

 「あまり気を落としてはなりませんよ。打てない球はない、が貴方の持論でしょう?」
 「え・・・・?あ、ああ、そうだよな!!一球くらい打てねーからって、恐れるこたねーよな!!」

 
 「そうそう!頑張ろうね兄ちゃん!!」
 「・・・・///(こっくり)」
 「そうですよ、頑張りましょう!」
 「とりあえず・・・お前にはムリ。プ・・・。」
 
 「てめー犬コローーーーーっっ!!」





 チームメイトの犬飼といつも通りこぜりあった後、十二支の1年のメンバーはそれぞれの帰途へとついた。




 「・・・・・・んなとこで・・・会うなんて・・・な。」
 一人きりの帰り道で、天国はふと言葉をもらす。

 「そうだよな、あいつ・・・・昔っから野球うまかったもんな・・・。」



 
 ため息を止められずに家へとたどり着く。
 

 「遅かったな…天国…。」

 低く響く声にびくりと身体をふるわせる。


 「無…涯…。」


 「やっと見つけた…。」
 
 最も大切なもの。
 一度見失った存在…。

 「まさか彼奴と同じ高校に…しかも野球部にいたとはな…。」

 屑桐は一歩ずつ天国に近寄る。
 
 天国は声を震わせた。
 
 「あんたには…関係ない…。」
 「天国…。」


 「うるさい!」
  
 天国の叫びに屑桐は伸ばしかけた手を止めた。

 

 「これ以上…オレに明美を裏切らせるな!!!」




 止まった歯車はもう動かない…。

 動かしてはいけないんだ…。


                                  To be continued…





 はい、やっと天国が出てきましたね。
 そして何故か明美の名が…。
 大方予想はつかれると思いますので、ここで明美については控えますね。
 つーか控えるほどのものでもないですけど^^;)

 さて、次は牛尾君乱入?かもしれません。
 かなり贔屓の攻キャラですね。場合によっては牛猿になるかも。
 一応屑猿のつもりですけど、なんせ気まぐれなもので。(笑)
 しょうもない話ですみませんが、今しばらくお付き合いを。

 ではこの辺で〜v