秘密
『私の秘密v教えちゃうぞ大バクロ大会〜〜〜!!』
そういえばだいぶ前に言ってたっけ。
『なーんと!オレのオヤジは日本初のメジャー挑戦者で〜〜!』
『嘘こけ〜〜〜!』
『生き別れのアニキはアメリカに〜〜〜!!!』
『ばかやろ〜〜〜!!』
あれが全部ホントだったなんて、誰が想像ついた?
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「お前…何であんな風にバクロしてたのだ?
まあホントだって誰も分からなかったけど…。」
「別に、たいした理由はないっすよ。」
後日、全国県対抗選抜大会で猿野天国の家族…言っていた大選手の父と、アメリカに居た兄が現れた。
その時は驚いたものだったが。
一番驚いたのは、あの時に 会ったばかりの自分たちに 言っていたこと。
「僕は…不躾だと思うのだ…けど…。
お前にとって辛い秘密ではなかったのだ?
あの時、どうして言ったのだ?」
「…なんでそんなこと知りたいんですか?センパイ。」
「今、お前が辛そうだからなのだ。」
元プロ野球選手の、しかもメジャー挑戦者の知られざる息子。
生き別れの兄弟。
決勝戦での因縁の対決。
どれも世間の好みそうな話題だった。
そして何より、野球を始めてわずか4ヶ月で、最高の投手の球を打ち負かすほどの力を持った天国を。
マスコミが追いかけないわけもなかった。
今も校舎から、グラウンドに多く居る記者が見える。
もし、目立つことが好きで騒いでばかりだった天国しか知らない頃であれば。
きっと喜んであの大勢の記者の前に立っていただろう。
「あの時はね…。」
天国は思い出したように答えた。
「嘘だって、みんなに言って欲しかったんです。
そんなわけないって、オレにはそんな大それたオヤジもアニキも元からいないって。
言って欲しかったんですよ。」
「…猿野。」
「…でも今は大丈夫です。
あの試合で…オレはオレだと、だいぶ思えるようになりましたから…。」
そして思い切るように、歩いた。
同時に、今居る廊下の向こうから羊谷監督が現れた。
「猿野、ここに居たのか。
…いけそうか?」
「はい。」
羊谷に連れられ、天国は多勢の光を当てる機械の前に行った。
猿野が戻ってきたら。
お前は猿野天国だと、自分も言ってやろうかと思った。
「鹿目くん、そろそろ行こうか。」
「ああ。」
そして僕たちは、あいつと同じ時を過ごしたグラウンドと別れた。
本当のあいつがいたグラウンドと。
end
なんか途中からよくわからなくなりました…変な終わりです。
名前は最後に出しましたが、相手は鹿目くんで。
こどもっぽい顔でしっかり先輩をしている彼がかなり好きです。
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