「どうしてオレ達を置いていった?!」


おとうさん


オヤジ




過去





「興味がない」


「私の息子はこの黄泉ただ一人よ」


久しぶりに会った父親はそう言い捨てた。

ふざけていると思った。

じゃあ捨てていったオレ達はアンタにとってもう他人なのか?

アンタにとって「興味のない過去」にしか存在しないものなのか?

オフクロはアンタにとっては奥さんで、オレはアンタにとって息子じゃなかったのか?

もうオレは息子じゃなくて、オフクロはアンタの奥さんでなくて。

ふざけるなよ。

じゃあなんだよ。オレはアンタの排泄物でできあがっただけのモンなのか?

アンタが捨ててもオフクロもオレもあれからちゃんと生きて。

存在してたんだ。

オフクロは必死で働いて、オレをちゃんと毎日学校にやってくれた。

オレだって学校でオヤジがいないことを何度となく非難されたけど、
一日だって休まずに、休みの日はオフクロを手伝って。

二人で必死で生きていたのに。

オレは可哀想なんかじゃないって、オヤジはいずれ戻るからって信じて。


信じていたふりをしながら、心の隙間を隠していたのに。


オレを出来損ないと言ったアンタをそれでも待っていたのに。


アンタはオレ達を過去と言うのか。


畜生。


半端じゃなくショックじゃねえか。


いつだって野球しか見てなかったもんな。

今だって野球の出来る「アニキ」の事だけを息子と言った。


野球の出来ないオレは息子じゃなかった。


…そうだ、だからオレは最近まで野球なんか大ッッキライだったんだ。

今は…違う。野球はキライじゃない。

野球のおかげで、オレは自分の居場所を見つけた。


だから、今は。


それを理由にオレとオフクロを捨てたこの男を。


心から、憎いと思った。




 end


200発目、あまりに衝撃的な展開だったので、我慢できずに書いてしまいました。
来週以降あまり矛盾が出ないようにしましたが…まあ短いしいいかな、と。
…一行やたら生々しくてすみません…。
にしてもホント、どういう人なんでしょうねこのお父さん。
どういう理由があっても出来る息子しか見ないでなにも言わずに去った父。
いい人ではないだろうなあ…。


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