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「ヴラディス…すまない…。」
ガブリエルは血にまみれながら、倒れたヴラディスラウスの身体を抱き寄せた。
「許して…くれ…。」
殺すしかなかった。
殺すしか方法がなくなるまで追い詰めてしまった。
傍にいたのに…。
もうヴラディスラウスは動かない。
血は止まらない。
ガブリエルの刃は確実に彼の心臓を貫いていた。
「ヴラディス…。」
ガブリエルは強くヴラディスラウスの力ない身体を抱きしめた。
その 瞬間。
近づいていた上空の渦の中心に、暗雲が現れた。
ガブリエルはその気配を、全身で感じとった。
そして、腕にヴラディスラウスを抱いたまま視線を向けた。
そこに。
「ルシフェル…。」
ガブリエルは身体を硬直させる。
「やあ、ガブリエル。」
親友と同じ顔の、しかし満面の笑みをした。
悪魔の王がいた。
ルシフェルは、ガブリエルの腕の中のヴラディスラウスを見ると、困ったような顔をした。
「おいおい…ガブリエル、何を勝手なことをしてくれたんだ?
それは、私の身体だぞ。
傷をつけるなんてひどいじゃないか…?」
ルシフェルの言葉に、ガブリエルは推測が当たっていたことを知った。
「やはり…ヴラディスに入るつもりだったのだな…。」
「何だ、知っていたのか?
つまらんな。
お前の驚く顔がしばらくぶりに見られると思っていたのだが…。」
「知ったことか!
だがもう遅い…。この身体は死んだ。
たった今私が殺したのだ!」
殺したくなんかなかったのに。
だが、これで…少なくともルシフェルの目論見は阻止できた。
それだけは起こってはならないことだったのだから。
だがルシフェルは何を言っているんだといわんばかりに嘲笑した。
「ははははは!ガブリエル、お前にはそう見えるのか!?」
「な…何がおかしい?!」
ガブリエルはヴラディスラウスを抱く腕に力を込めた。
ルシフェルの意図は分からない。
だが…。
「よく見るんだガブリエル。
ほら…そいつはまだ立派に息をしているじゃないか…?」
「何…?!」
ガブリエルは腕の中のヴラディスラウスを見る。
愕然とした。
浅い吐息。
先ほどより小さい傷跡。
まだ、ヴラディスラウスは生きていた。
「な…これは…。」
「そいつは龍の血を受け継いでいるからな。
人間よりよほど強靭な肉体だ…私の魂を受け入れられるほどの。
最も…そのままほうっておけば死ぬのは間違いないがな…。」
「あ…。」
一瞬。安堵の気持ちが心を掠めた。
しかし。
「良かったな、ガブリエル。
これでお前の愛したその者の身体は永遠に生きる…私の身体としてな!!」
「!!」
強大な力が、ヴラディスラウスの身体をガブリエルの腕から浚った。
「あぁっ!!」
「ははははははははは!!」
高らかに笑うルシフェルの頭上に、ヴラディスラウスの身体が浮き上がる。
「やめろ!!やめてくれルシフェルーーーーーーーーーー!!」
「さあ、地上の肉体を!!
私の支配する地の誕生を!!」
ルシフェルの姿が光芒となり、ヴラディスラウスの心臓部に向かった。
「やめろおおおおおお!!」
ガブリエルは空に吼えた。
To be continued…
行間あけすぎだ…。
文自体は短いです。すみません…。
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