彼方へ
第三部
11
「う…。」
「起きたか、ガブリエル。」
「ヴラディス…。」
傍らで眠り続けていたガブリエルが目を覚ますと、
ヴラディスラウスはかすかな笑みを向けた。
ヴラディスラウスとともに過ごす日々は、ガブリエルの身体を消耗させることが多い。
果てることない熱情を叩きつけるように行為を続け、
それに加えてガブリエルはヴラディスラウスに糧となる血液を与え続けた。
その消耗の回復のためか。
ガブリエルは時折長い眠りに入った。
週に一度身体機能が戻るとはいえ、
(休息は必要なのだろう…。)
ヴラディスラウスはそう納得していた。
この長い時をずっと傍にいることができる。
眠っているその時でさえ。
「ん…。」
まだはっきりとは覚醒していないのか。
ぼんやりとした表情を見せるガブリエルに口づける。
薄く開いた唇に舌を差し入れた。
ゆるり、柔らかな天使の舌に絡ませる。
「…ん…ぅ…。」
ガブリエルも口づけに応える。
最初のころは強かった戸惑いも、今は薄れてきている。
そう思うとヴラディスラウスは笑みを漏らさずにはいられなかった。
唇を離さないまま、ヴラディスラウスの手はガブリエルの腰に触れる。
一瞬わずかに震える。
その反応を指先で堪能しながらヴラディスラウスは指を動かした。
「…っ…、ヴラディス…まだ…。」
「まだ…?何が?」
「あ…!」
ぐ、と臀部を揉みしだくようにつかむと、ガブリエルは背筋をそらした。
「あ、ぁ、待って、くれ…っ…まだ…っ、ん…っ。」
ぐいぐいと続けて揉み込む。
それだけでも感じるのだろう、ガブリエルは小さな喘ぎを繰り返す。
小さな小さな拒否とともに。
「天使が嘘をついてどうする。ガブリエル…?」
「ひ…っ?!!」
ズッ、という鈍い音が聞こえるような感覚とともに。
もう覚えてしまったすさまじいほどの圧迫感がガブリエルを襲った。
「何だ。もう入るじゃないか。」
「あ…っぐ………。」
言葉にもならなかった。
圧迫感のせいだけではない。
「ほら、このように滑らかに…動く…。」
「あっ、あぁっ、う、ごくな…っ、あっ。」
(声が、声が…。)
止まらなかった。
何度も何度も与えられた快感に、このからだは。
そんな自分に。
ガブリエルは戸惑い、苦しみ、悲しく想い。
そして同時に泣きたいほどに。
愛される幸福を感じた。
そんなガブリエルを見て、ただヴラディスラウスは笑った。
嗤うでなく。
笑っていた。
ただ二人、氷の城で。
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ひゅう
細い音を響かせ、風がヴァレリアスの地を冷やした。
ふと、アンナ・ベルは空を見上げる。
「アナさま。ショコラをおもちしました。」
幼い声を精一杯固めて少年が部屋に入ってきた。
「エリック。あなたが持ってきてくれたの。
…マリーの具合はどう?」
「…あまりよくありません…。
でもだいじょうぶです。ぼく、かあさまのかわりにがんばります。」
「私も見舞いたいのだけれど…。」
「それはだめです。かあさまもぜったいアナさまをつれてきてはだめって…。」
「ええ、分かっているわ…。」
「ぼくも赤ちゃんにげんきにうまれてほしいです!
もうすぐ、ですよね?アナさま。」
「ええ。」
ひゅう。
「どうしました?アナさま。」
「…いいえ。おかしな風が吹いているようだから…。」
To be Contiued…
久々の続編、そして久々の裏です。ぬるすぎですけどね…!!
読んでくださる方、本当にいつもありがとうございます。
そろそろ話が大幅に動くかな…。
DVDウルヴァリンもしかと見てますよvv
おヒュー様の素晴らしい脱ぎっぷりにうはうはしております。
次の映画も楽しみな今日この頃です。
「レギオン」も見たいかも…。
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