なんでコート脱いだんですか



「やあ、ガブリエル。」

 

銀の杭を突き刺したのに、目の前の相手は死ななかった。

そしてなお、自分を知っているかのような言葉。

その二つはヴァン・ヘルシングを動揺させるには十分だった。

 

「貴様の銀の杭か?」

銀の杭を胸からはずし、ドラキュラ伯爵は言葉を続けた。

 

カランと音を立て、伯爵の胸に突き立てた杭は地に落とされた。

 

ヴァン・ヘルシングは冷静を保つよう努めながら、伯爵と距離を置く。

 

「出会って何年になる?300年、いや400年か?」

伯爵の言葉は続けてヴァン・ヘルシングを動揺させた。

何を言っているのだ?

この男の言っていることは真実なのか?それとも自分を動揺させるための虚言なのか。

 

「…覚えていないのだな?」

伯爵は身に着けていた黒いコートを脱いだ。

 

ヴァン・ヘルシングは後ずさりしながら、伯爵に答えた。

 

「俺は何をおぼえていればいい?」

 

「貴様は…ヴァン・ヘルシング!

バチカンからチベットまでありとあらゆる場所で秘術を身につけ…バチカンに守られた男。」

そう言って伯爵は手袋をはずす。

 

「だが!私と同じく…皆から追われる存在だ。」

伯爵はふっと笑い、軍服仕様の上着を脱いだ。

 

「俺のことをよく調べたようだな。」

 

「だが、それだけではないのだよ、ガブリエル。

 私たちの間には、もっともっと長い因縁があるのだ。」

 と言いながら、今度は伯爵はズボンに手をかけ…。

 

「ちょっと待て!!

 何してるんだ貴様は!!」

 

「おや?無粋なことを聞くな。ガブリエル。

 見てわからんのか?」

飄々と答える伯爵に、ヴァン・ヘルシングは困惑を隠せなかった。

 

「…なぜ今この場で貴様が服を脱ぐ必要があるのか

 俺に理解を求められても困るのだが…。」

 

「ガブリエル、しばらく会わないうちに随分と初心になったものだな。」

伯爵は口元に可笑しくてたまらないといった笑みを浮かべる。

 

その言葉の意味する内容にヴァン・ヘルシングは本気で何がなんだかわからなくなった。

 

「ふふ、随分と面白い顔だ。

 私はそんなお前も好きだ。さ、おいでv」

とかなんとか言いながら、伯爵は満面の笑みでヴァン・ヘルシングに手を差し伸べた。

 

「行くかーーーーーーーーーーーっ!!!」

ヴァン・ヘルシングは手に持っていた十字架ともう一本の杭を伯爵に投げつけると。

即効できびすを返し、昇降機に乗ってアナを助けに走った。

 

「ふっ、照れ屋な所は変わらんな。愛いやつv」

そして半裸で杭の刺さった夢見る伯爵一人、花嫁さんたちが泣いて帰ってくるまで自分の世界に浸っていたそうだ。

                    



       end


DVDをしつこく見ているときにふと沸いた疑問でした。(笑)
伯爵が最初にヘルシングに会った時にいきなりコート脱いだんで、つい。
まあ非常にありがちなので読み飛ばしてくださったらよいかと…。
ギャグと言うのもおこがましい駄文でした。失礼いたしました!!

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