「兄貴ーー!客人が来ましたぜ!」
「お!来たかーー!待ってたぜ!」
瀬戸内の海にとどいたのは、元気な声。
「新年のご挨拶に参りましたぞ、元親殿!」
「よう幸村!おめでとう!」
四国の君主(兼海賊)、長曽我部元親のもとに
甲斐の使者として真田幸村がやって来たのは年が明けて間もない日の事。
幸村にとっては元親は包容力のある兄のようで、
この新年の訪問はとても楽しみにしていた。
元親も同じく、弟のようにかわいいと思っている幸村に会えるのは楽しみだった。
「元親殿、お元気そうで何よりでござる。」
「はっは、オレがそこらの病気なんかに負けるかよ。
おめえも元気そうで何よりだ。今日はうまいものを用意してっからしっかり食っていけよ?」
「は、忝ない。」
楽しげに会話しながら一献傾けようかという、その時。
「wait a miniute!」
すぱんと威勢のいい音をたてて、襖が開かれた。
そこにいたのは。
「ま…政宗殿?!」
「お?政宗か。お前は明日呼んだはずだったんだけどよ。」
悪びれず答える悪友に、政宗は怒りをあらわにする。
「てめぇ元親…何で幸村とわざわざ日をずらしやがった?」
「そりゃおめえがいたら幸村とのすいーとたいむとやらを邪魔されるからなあ。」
「てめえ…。」
ぷつり、と音がすると。
東のアニキ、奥州筆頭は名物六爪流を引っ張り出す。
「おう、やるか政宗?!」
それを西のアニキ、瀬戸の鬼は碇槍を構えむかえうつ。
その時。
「いいかげんになされよ!」
紅の二槍が物騒な空気を切り裂いた。
「「幸村…。」」
二槍の主はどん、と槍をつくと仁王立ちで言った。
「新年早々争い事などもってのほかですぞ!
お二人共ご自重なされ!」
「っつ幸村…悪いのはこいつ…。」
「言い訳無用でござる!政宗殿!」
「う…yes…。」
その様子を見て、元親は笑い出した。
「ははは!流石に紅蓮の鬼だ!独眼竜も形無しだな!」
「うっせえぞ乳首野郎!」
憮然としてあまり品のない口をたたく奥州筆頭だが。
年上の余裕か元親は気にした様子もなく、政宗の杯を用意させた。
「ま、いいじゃねえか。勝負は後回しにしてここは幸村の言う通り仲良く新年を祝おうぜ。」
「…仕方ねえな…。」
「分かって下されたか!」
どうやら二人が仲直りする気配を見せると、幸村はそれは嬉しそうに笑った。
「今年もよろしくな。」
「ああ…A HAPPY NEW YEAR」
「よろしくお願いいたす!」
新年を友の笑顔を肴に祝うとしよう。
END
花月さんに押しつけました、年賀小説です。東西兄貴×幸村を目指しましたが、結果としてはダテサナ+チカという雰囲気で;;
兄貴は大人の余裕があるといいなあ、という願望です。
花月さん新年早々お受け取りありがとうございましたvv
今年もよろしくお願いします!
戻る