オレとあいつとこいつとキミと。



「ふぁああ…よく寝た…って、あれ?夢吉?」

甲斐に程近い峠で、一休みしていた傾奇者・前田慶次は目を覚ました。
最近知り合った面白い少年に会うのが目的だったのだが…。

目を覚ました時、慶次は驚いた。

旅の相棒である愛らしい小猿がいなかったのだ。
しかもそれだけではない。


「あ、あれ?!なんであいつもいないの??!!」


もう一つ、慶次の傍を離れたものがあった。



##########

「ん?何だ外が騒がしいな。」

ここは武田の居城。
真田の武将、幸村は稽古を終え、ひと段落して身体を清めていた。
その時に城門の方向から騒動があったようだ。


幸村は水から立ち上がると忍を呼んだ。


「佐助。」

主君の声に、間を置くことなく佐助は幸村の前に現れた。

「はいはいっと…旦那、まーたそんなカッコで。」
目に毒よ、と何も身に纏わぬ主君に布を差し出した。

差し出された布を受け取り軽く身体に纏うと、幸村は少し目を開いて言う。

「佐助の前で恥じ入ることもないだろう?」
「…そーゆーのオレ以外に言っちゃダメだよ。
 襲われるからね。」
どっかの独眼竜とか。

何も分かっていない主君に一つ息をつくと。
佐助は報告を始めることにした。


「外の騒ぎはね、何かすごいデカい馬が小猿のっけてうろついてたんだよ。
 あんまり珍しい光景だからね~皆なんか近寄れなくてさ。遠巻きに見てるわけ。

 それに、その馬がまたスゴイの何のって。
 あれ、軍馬だよ。しかも最高の。

 それからのってた小猿ってのが…見たことあるコだったわけ。」


「馬に…小猿?小猿といえば…。」

幸村は最近知り合った派手な男を思い出した。
佐助は頷いた。

「そ。あの人のだろうね。」



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「幸村様!」

城門の周りにはちょっとした人だかりが出来ていた。
そしてその視線の先にある動物たちはというと…。

二匹そろって眠っていた。
なんとも無防備なことだ。


それとも。

幸村は苦笑しながら二匹の元に歩をすすめた。


「幸村様、あぶのうございます!
 あの馬は並みの体格ではございません、もしお怪我を…。」

「ふふ、武将が馬を恐れてどうするか。
 何、いざとなれば佐助もおろう。大丈夫だ。」

引き止める家臣を柔らかく諌めると。
幸村はゆるりと二匹の傍に来た。


(やはり。)

傍に来て馬の上に乗る小猿を確認した。


「夢吉殿。起きてもらえるかな?」
その小さな顔に指で触れる。

すると夢吉が目を覚ました。


「キッ。」

「わっ。」
夢吉は幸村の顔を確認すると嬉しそうにとびつく。

すると背中の気配に気付いたのか。
巨大な馬も目を覚ました。
幸村はその瞳を間近で確認した。

賢馬の持つ深い色の瞳だった。


「あっ、馬が!」
「幸村さま!」


「騒ぐな。よけい危ない。」
驚く周囲を諌めると。

幸村は夢吉を抱きなおし、再び馬の瞳を見た。



すると。

馬はゆっくりと立ちあがった。



「…ほお…。」

立ち上がるとその巨大な風貌はさらに威厳を増した。


幸村の決して低くはない身長でも、馬体を見上げなければいけないほどだ。

何よりもその威風堂々とした姿。
数々の軍馬を見てきた幸村も、感嘆の声を上げずにはいられなかった。


すると、馬はゆっくりと頭をたれ。
幸村の身体に顔をすりつけた。



幸村への警戒を解いたらしい。
いや、最初から警戒などしていなかったのか。

それは確固たる自信の表れなのだろう。


その姿は、多分この馬の主人であろう人物を彷彿とさせた。



「そなた、やはり…。」

するりと幸村は馬の顔を撫でた。
馬は気持ちよさそうに目を閉じた。



そのとき。



「ここか、夢吉!松風ーー!!!」



前田慶次が現れた。



                →薄紅(素直な幸村)   →真紅(ツンデレ幸村)




というわけで前田慶次の騎馬。かの有名な松風くんネタです。
三国の方でも赤兎馬くんとか的嚧とか絶影とかいろいろ騎馬がいて楽しいです。

いいですよね~軍馬。
昔阪○パークとかで乗馬体験をしましたが、独特のぬくもりと振動とあの目線の高さがなんともいえません。

ではお好きな方でお待ちしてますv(誰が)


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