※立志モードより。劉備さんのお誘いお手紙の内容があります。
まだ知りたくない方はご注意を。
Your Letter
「凌統、君の部下は忠臣の鏡だな。」
「は?なんですか周瑜殿、いきなり。」
「実はな、君の部下に蜀から寝返りの打診があったようだが…すっぱりと断ったよ。
本当を言うと、君に黙って彼女に埋伏の毒をも頼んだが、それさえも、ね。」
「…あいつが…。」
「正直残念だが、君には良かったことだろう。
それにしても劉備から直々に勧誘するとは…なかなかに見込まれているものだ。」
「…劉備、から…ですか。」
「そう、この手紙だ。」
カサリ、と手渡されたのは二つに裂かれた手紙だった。
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その晩、自室に帰った凌統は文机の前に座ると ふ、と一つ息をつく。
そして懐から紙を取り出した。
昼間に周瑜から手渡された勧誘の手紙。
蜀の君主…劉備の手によるものだった。
その紙にはこう書かれていた。
書面で失礼する。私は大志を抱き
起ったのだが、いまだ戦乱は続き
民の苦しみは消えぬ。この現状を
打開し、仁の世を創るために……
お前の力、私に貸してほしい。
劉玄徳
「あの人らしい…。」
一心に民を想い、したためたものだろう。
凌統は既に乾いた墨の表面を指先で撫でる。
あの人の書いた字を。
あの人の名前を。
あの人の触れた紙を。
「…劉備さん…。」
『凌統殿』
数週間だけ一緒にいたあの笑顔が目に映る。
「〜〜〜〜〜〜〜。」
どさり、と凌統は文机に突っ伏した。
「どこの乙女だよ、オレは…。」
思い出して照れて、切ながって。
裏切りの手紙すらこんなに大事に感じるなんて。
「あの人はもう敵だっつの…いい加減諦めろよな…。」
今まで何度も繰り返した自嘲。
無駄でもついつい繰り返して繰り返して。
やっぱり思い出す。好きだと想う気持ちを。
「いずれは殺さなきゃいけないのに…な。」
自分でなくとも、いずれは誰かが。
そう考えた瞬間ぐ、と拳を握り締める。
「それもムカつくんだよな…だったらいっそ…。」
「…?」
その時、凌統の目に小さな文字が見えた。
そこにはこう書かれていた。
「あの方に伝えたいことはありますか?」
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「…夜分悪いけど…。」
「お待ちしておりました、凌統様。」
数時間後、凌統は部下の家にたどり着いていた。
あの小さな言葉は、紛れもなく彼女のもので。
「…アンタ、どういう意味で…。」
「それは貴方が一番ご存知でしょう?」
にこり、とさわやかな笑顔で彼女は笑った。
「……オレを裏切るってわけ?」
「ええ。結果としてそうなります。」
「…あのね、アンタオレがみすみす裏切り者を逃がすとか思ってんの?」
「私は…凌統様…貴方が嫌いではありません…大切な上官でした。
ここまで導いてくださり感謝しています。
だからこそこうやって策もどきのようなこともしてここでお話しております。」
「結局過去形じゃん…?
裏切ることには変わりない。」
「もうひとつ、聞いてください。私があの方に仕えることを決めたのは…。
貴方が戦場で見せたあの方に向けた眼差しです。」
「!」
その言葉に、凌統は凍りついた。
彼女は、知っている。
「敵であっても貴方が心寄せる方とはどういう方かと…私はあの方にお会いしました。」
「…じゃあ、前の戦いで…。姿が見えなくなってたのは…。」
「はい、剣を交わしました。
そして…素晴らしい方だと思いました…。」
ああ、なんてことだ。
自分がきっかけで、敵にむざむざと部下を奪われるとは。
「ざまあないな…。」
頭をかき、諦めたように俯く。
「凌統様、私はこれから蜀に、劉備様におつかえします。」
「決心は固いってわけね。」
「はい、だから…。」
「ねえ、『玄徳』…あの人に、伝えてくれるかな。
オレの名前は言わなくて良い。
ただ、あの人に…幸せで、笑ってて…と。」
「…はい、凌統様…。」
「元気でな。」
そういえば、あの人の字と同じ名前だったからこいつを雇ったんだっけ。
そんなことを思い出した。
玄徳の背中は、すぐに見えなくなった。
オレには行けない、あの人のもとに行ける翼を持って。
end
立志モードで「玄徳」という女性を作り凌統のとこに仕官してみましたv
そしてそこから生まれた妄想がこちら。
実際手紙をくれたのはホウ統さんだったんですが…;
あ、埋伏すすめたのが周瑜さんなのは本当です。
結局寝返りも埋伏も断り、最後まで玄徳は凌統に付き従いました(笑)
ちょっと乙女すぎてキショいヘタレ凌統ばっかですみません。
じつはもうちょっと続きがあり、夷陵の戦いまで行くつもりだったのですが…。
かなり哀しいことになりそうだったので今回はボツ。あまり後味よろしくないので…。
もし悲恋end読みたい方、いらしたら連絡ください。(おいこら)ちっちゃくUPします(笑)
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