まっかなかじつ


ここは奥州。

今年も小十郎の畑には色とりどりの野菜が実る。

ふと赤い果実が目に入った。
つやつやと赤く丸く光るそれ。


その光沢に密やかに唇を寄せればまるで…。



ばこ。



「政宗様。野菜をくだらん妄想に使用なさらないでください。

 貴重な「とまと」ですぞ。」


「…Misunderstanding(誤解)だ…。」

「嘘言いなさい。」


腹心からの脳天直撃を受けた奥州筆頭、伊達政宗は。


想い人の鎧と同じ色の野菜を転がしながら、気を失った。




########

さてその頃、甲斐では。


「旦那〜奥州の右目の旦那から何か届いたよ。
 新種の野菜だって。」

「おお、片倉殿が。
 して、どのような?」

「ん、まあ右目の旦那なら安全でしょ。」

忠実な忍びは、ゆっくりと主への贈り物を開けた。

そこには。


「ほお…これは見事な紅でござるな。」
「へえ…すごいね。旦那みたい。」

「はは、それは光栄だな。」

そう笑い、武田の若き武将は一つ、野菜を取り出した。


「これはこのまま食すものか?」

「んー、手紙によるとそのまま食べても構わないらしいよ。」


「そうか、では一ついただこうかな。」


ぱくりとかぶりつくと。

みずみずしく、爽やかな酸味が口の中にあふれた。



「…これは、うまいな。」



真田幸村は嬉しそうに笑った。



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「delicious…だな、小十郎。」

「お褒めいただき光栄でございます。」

「…幸村にも送るか…。」

「ええ、そうおっしゃると思いもう送りました。」

「へえ…気が利くじゃねえか。」


「私の名前でですが。」





「…ほお…。」




その日奥州では。

双竜と呼ばれる剣豪が 真っ赤なトマトになりました。




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「…佐助、この奥州の伊達成実どのからの書なのだが…
 よく分からぬ…何かの暗号か?」

「……さあ…?」




                                    END



思いついた事を思いつくままに書いたらやっぱりよく分かりませんでした。
みの○んたさんのテレビでトマト専門のお店が紹介されたのでなんとなく出たネタです。
練らないと文章にもならないよといういい見本;;

ところでトマトがちゃんと食用として栽培されるようになったのは世界でも18世紀ごろだそうです。
戦国時代にあるわけありませんので、あしからず;


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