ワイン



「君も飲む?」

真っ赤なワインを白い手が差し出してくる。
なんとも絵になる光景。

とはいえ。

「いちおう教育者が未成年にアルコール勧めていいんですか?」

素気無く答える。
だからといってひるむような相手ではなく。

「そりゃダメだろうね。世間的には。」

「そうでしょうそうでしょう。」

「でもここはボクの家だから、世間は関係ないよ?」

「……。」

全く。
あーいえばこーいう。

優しい顔してどうしてこう唯我独尊なんだこの人は。

言っとくがオレは酒を勧められたくらいでここまで言ってるわけじゃない。


「飲まないの?」

白い手はまだすすめてくる。
ちなみにこの手の持ち主、服は着ていない。

ついでにオレも、着ていない。

というか目の前のこの人に全部脱がされた。


つまりは、そーゆーことである。


オレが状況説明のため(誰にだ)黙っていると。

目の前の人。

白雪静山、22歳独身、全国高校野球県対抗総力戦、埼玉選抜チーム監督。
…で、元十二支高校キャッチャーで、オレにとっては大先輩。

……というお方であるその人は、グラスに注いだワインを口に含んだ。


ん?含んだって…飲んでねえよな、この人。
って、このシチュエーションは…まさか。



「ん…っ!!」

苦くて甘いワインが口の中に流れ込んできた。

大方流れても、この人は唇を離さない。


ごくり。


飲み込んでも、離さない。


それどころか。


「ん…ん、ぅ…。」

舌も入ってきましたよ。どーしましょおかーさーん。







「…色気ないこと考えてるでしょ。」

「…;」

おい、人の頭も読んでますよこの人。


「やだな、別に読めるわけじゃないよ?」

ってマジ読んでるやないけええええええ!!!

「違うってば、君のことならわかっちゃう、だけv」


何かわいくとんでもないこと抜かしてんですかこの22歳は。


「そう?かわいい?」


…………………………もうこの人の前では何も考えないでおこう、うん。



#####


「あれ、もう帰っちゃうんだ。」

「当たり前です。配達ついでに18禁なことされちゃ身が持たねってんですよ。」

「だって、こうでもしなきゃ会えないじゃない。
 ボクも恋人との時間は欲しいんだけど。」

「…/////。」

「ふふ、赤くなってかーわいv」

「…男子高校生相手に可愛いはやめてほしいんすけど…。」

「やだ。」


「わがまま…。」

「でも、そんなボクの事も好きだよね?猿野くん。」

「…残念ながら。」

ちゅ。


「…美味しかったよ、エルミタージュ。」

「毎度どうも。…またのご注文お待ちしてます。」

「勿論。配達人込みでね。」

「…はいはい。このサービスは白雪様のみ、ですから。

 存分にどうぞ。」

「存分に?」

「………存分に。」

「じゃ、次も遠慮なく。」




                                        end


甘さを少し足してみました。雪猿です。
個人的にワインは白の方が好きなんですが、白雪さんには赤を持ってもらったほうが際立つんで。
ちなみにエルミタージュは17,000〜18,000円くらいのもあるようです。
大学出たてで買うワインかどうかは…知りません;すみません。


戻る