「くそ〜あんのバカ教師が、ぐだぐだとしゃべりやがって…。」
そろそろ日が傾きかけた頃、天国は部室に向かっていた。

本来ならもうとっくに野球部の練習に入っている時間帯。
それなのに、今日は担任に呼び出されたのだ。

内容自体は、授業態度を改めよという非常にシンプルなものだった。
しかし、教師の性格からか、非常に長くくどくどと説教を続けられてしまったのだ。


そんなわけで、天国の機嫌は相当悪かった。


そんな時。


ドン。




天国の肩に弱くない衝撃が走った。

「ん?」

何だ?と相手に視線をやると、そこには。



「なんじゃ〜おまんは?」
「ワシらが十二支の黒い三連星と知っての事け〜?」

非常に老け面で「ガラ悪いんですv」とおもいっきり自己主張している顔が三つ。

(あぁ?なんだよこのモノクロな連中は。)

「あいたたた今ので肩の骨1本イッてもうたわ」

どうやら本日は厄日らしい。
天国は不機嫌な顔をさらに不機嫌にゆがませる。

「われ〜ようもやってくれたのう?
 入院代出さんかい!!」


ぷち。


あぁ?

天国は地響きに似た背景音と共に顔を上げる。


「お?なんやわれ、えらい威勢のええ目つきしてくれるやんけ。」
「ワシらとやろうっちゅうんかい?」

そう言いながら黒い三連星は、天国の顔をじろじろと見ながら言う。


ドゴッ



突然、重い音が鳴る。
天国が手前の髭ヅラの鳩尾に膝蹴りをくらわしたのだ。


「ぐっ…ううっ…。」


「兄者!」
「おんどれ、何さらしてくれるんじゃい!!」


「…るせえんだよ。この時代はずれ。」

天国は残る二人を睨み付ける。



「…!!」

その眼は、恐怖感をもたらすのに十分な迫力であった。
そして…とても。


失せろ。」

ギッ



「「「は、はいっ!!」」」


三連星は天国の声に背筋を伸ばした。
そして天国は黒い三連星の横を通り、部室への道を再度進んだ。


「あ…、あのっ!」

数歩進んだ所で、傷ヅラの男が天国を呼び止める。



「あ?」

天国は、首だけ振り向く。


「あ、アンタ…名前は?」

見ると、黒い三連星、さっきとは違う目つきで自分を見ていた。


だが、どっちにしろこれ以上相手にするつもりは天国には毛頭なく。



「山田太郎。」




それだけ言って、部室に向かった。







後日、黒い三連星が山田太郎FCに改名をしたという噂があったとかなかったとか。


                                                        END


黒い三連星、天国に一目ぼれ?ってな話。
どういう人選だよ…。正気か?私。

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 不機嫌