Stairs to the heaven


 いつもは上がって、降りて。
 面倒なばかりの階段だけど。
 
 踊り場に日光が当たってるときなんか、すごく好きなんだ。
 すごく綺麗な場所に通じてるような。
 そんな気がして。


 今日も、丁度朝日が当たってて。
 光が一杯見える。 

 そんな光景を、ぼんやりと眺めていたら。
 
 「おーすっスバガキ!どした、こんなとこで!」
 ぱこっと後ろ頭を小突かれた。
 「あ、兄ちゃん!」

 今、僕が一番すきなひと。
 同じ部活の、猿の兄ちゃんだった。
 
 兄ちゃんに会えたのは嬉しいけど、今はほんの少し邪魔された気分。
 らしくないけど、ちょっと浸ってたから。
 
 「なに見てたんだ?すげー嬉しそうな顔してたぜ?」
 興味津々で僕の顔をのぞく兄ちゃん。
 教えたら、呆れられちゃうかも。
 だって、兄ちゃんこういう感性とか、疎そうなんだもん。

 「んー、ちょっとね。」
 「おっ。」
 言いよどんでいると、兄ちゃんが僕が見ていたほうを見て、声を上げた。
 
 

 「へー、綺麗じゃん。」



 「え?」



 「ほら、何か光が当たっててすげー綺麗じゃね?」
 


 僕と、同じ事思ってる。



 「そ…そうだよねっ!!僕もそう思ったんだよ!!」
 「だろ?そっか、アレ見てたんだー。」

 にっこり笑う兄ちゃんは、すごく可愛い。
 なんだか僕はすごく嬉しくなって、兄ちゃんに抱きついた。

 「おわ!なんだよスバガキ。」
 兄ちゃんは慌てて引き離そうとしたけど、絶対離したくなかった。
 僕は兄ちゃんの背中に抱きついて言ってみた。

 
 「僕ね、こういう階段見てたら、なんだかすごくいい場所につながってるような気がするんだ。
  すごく綺麗だから。天国への階段みたいで。
  繋がってるのは、教室にだけどね。」
 へへっと照れ笑い。
 ちょっと調子に乗っちゃったかな。


 「バーカ、んなもん自分しだいでいくらでもそうなるだろ?」
 「え?」

 思いがけない言葉。
 
 兄ちゃんは僕が力を緩めた一瞬で僕の腕から逃げてしまった。
 
 兄ちゃんはそのままとんとんと階段を軽やかに上がり、踊り場につくとくるっと振り向いた。
 
 「こっから先はダチが待ってる天国。勉強ばっかの地獄じゃねーだろ?」

 「…うん!」
 
 きらきら、眩しい。

 ああ、逆光で兄ちゃんの顔が見えないや。
 
 きっと日の光よりずっと綺麗な顔してるのに。

 

 「ホレ、行くぞ!遅刻したかねーだろ?」
 兄ちゃんは手を差し伸べてくれる。

 僕はその手をとって、今日もまた綺麗な階段を上っていく、
 君の居る階段。

 天国への階段。


 Tengokuをくれる、Amakuniへの階段。

   


初兎猿です!!
うわー、何かすっごく恥ずかしいですね。臭すぎ。
私的に学校の階段の踊り場って、すごく思い出が深いんですね。
廊下で会った友達と話したり、ケンカしたりもここでよくやりました。
ひとりで泣いたりもして。(苦笑)
自分としては結構不思議な場所なんですよね。
階段にもすっごく思い入れあります。なんせ我が家は階段の上なモノで…(関係ねえ!!)

すっごく短い・雑い・つまらないモノですが・・・。読んで頂けると幸いです。
では、今日はこの辺で。