足音
97番「音叉」の続きっぽく。
どうか あなたのしあわせを 見つけてください
手紙はそんな言葉で終わっていた。
「これを…誰が?」
「ん、見慣れないジャパニーズのBOYだったぜ?」
チームメイトから渡された手紙。
シンプルで、どこにでもあるような真っ白な封筒に真っ白な便箋だった。
名前は書かれていなかった。
そして中を見ると。
懐かしい母国の言葉が書かれていた。
それは女性の書く独特の繊細な文字で。
彼はその字を覚えていた。
彼が手紙に視線を戻すと。
手紙を届けてくれたチームメイトが急に彼の顔をまじまじと見た。
「?なんだ?」
「…わかった、お前に似てるんだ!」
「…誰が?」
「さっき手紙を届けてきたBOYだよ。どこかで見た顔だと…。」
その言葉が終わる前に、彼は駆け出していた。
「おい、ヨミ!?」
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あなたがどこにいようと何を思おうと、大切な息子です。
黄泉
どうか幸せになってください。
あなたの優しさで縛られることなく。
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目の前に、記憶より背が伸びた姿があった。
「…天国…。」
「久しぶり。」
追ってくるのが分かって来たのかのように、弟は驚きもせずに。
柔らかく微笑んだ。
「この手紙は…。」
「お袋からだよ。見りゃわかっただろ?」
「…ああ。」
聞きたいことはそれだけじゃなかった。
「お前は、何故ここに来た?」
「…決まってんじゃん。」
彼の問いにふ、と笑うと。
弟は彼に近づいた。
「あんな自己満足な去り方されちゃー寝覚めが悪かったんだよ。」
「…クッ…。」
その言葉に、彼は弟の言いたい事を理解した。
「クク…。そうか。
お兄ちゃんに会いたかったわけだ。」
「そうだよ。会いたかったんだ。」
弟は照れもせず
また、笑った。
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父の為に母と弟を捨てた。
母の為に自分を捨てた。
弟の為に弟を捨てた。
もう何も残ってないと、そう思ってた。
だけどまだ。
自分に近づいてくれる足音は残っていた。
それを嬉しいと思えるほど、自分は疲れていたのかもしれない。
近づいた足音を受け入れた時。
オレは何かを取り戻したのかもしれない。
今日は 一緒に飲むか。
天国。
end
今回もリハビリです。黄泉と天国の再会。
黄泉20歳 天国18歳くらいかな?
これくらいになれば、少しは黄泉も自分を見つめなおすことができてるんではないでしょうか。(知らん)
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