「明日はきっと晴れるね。」
「…?なんでわかるんだ、ジェイク?」
「ほら、夕日が赤いよ。
きっと空の神様が明日の雲を溶かしてるんだ。」
「…ふうん…。」
「明日はきっと晴れるね。」
「…。」
弟は今日も空を見て言った。
空はあの日のように赤い夕日で。
オレはからかい半分に言ってみた。
「空の神様が明日の雲を溶かしてるからか?」
すると、弟は驚いたような顔をして。
次の瞬間には笑って。
言った。
「そうかもしれないね…。」
弟は、ジェイクはそれだけ言うとまた空を眺めた。
オレはその表情につられるように視線を空に移す。
ジェイクの心は空のどこかで自由に飛んでいて。
オレはいつも置いてきぼりをくらっていた。
そんなあの頃のように。
あれから何年も何年もたって、オレとジェイクは大人になって。
ジェイクの心は少しずつ地上に降りてきていた。
だからもう少しで捕まえられると、そう思っていた。
だけど。
今、オレの心は。
ジェイクと同じ空を漂っている。
オレには出来ないと思っていた空を飛んでいる。
それは今までに知らなかった安心と幸福だった。
だから。
明日の空はきっと晴れるのだと。
ジェイクの隣で明日も思っているだろう。
end
初・童話兄弟話でした!
なんとなくポエムしたかったっていうだけですね。
どっちかというとお兄ちゃんの片想いがかなり書きやすいみたいです。
戻る