想う心・愛しさと狂おしさ









再び出会ったとき 心は大きく揺れ動いた

彼を狂わせる刻印を眼にしたとき 自分も狂うかと思った



「ケン一氏・・・。」

ハットリはベットで眠るケン一の傍らから離れることは出来なかった。
身体の所々に散りばめられた紅い跡。まぎれもなく口づけられ吸われた時にできるものだった。

「・・・誰が・・・こんな・・・っ」

ハットリの中を渦巻くのは怒りを通り越した憎悪であった。
自覚したばかりのケン一への想いがそれを更に強くしていた。
誰よりも大切な人を傷つけられた憎しみ、そして・・・。



自分でない者が彼の肌に触れたことへの嫉妬。


ふとケン一の頬に触れる。
ケン一はハットリの術により深い眠りに陥っているため、目覚める気配は無かった。
柔らかくなめらかな肌。
誰かがこの滑らかさを感じた。自分以外の誰かが。



ゆるせない



目のくらむような憎悪。
それはハットリの気付かない内にケン一にも向かっていた。


自分以外の誰かに肌を触れさせた、ケン一に。






「あなたは・・・誰にも渡したくない・・・渡さない・・・!」  

ハットリは眠るケン一の唇に激しく食らいつく。
薄く開いた唇に舌をしのびこませケン一の内を感じる。
奪うように食らいつき、吸い付き、陵辱した。


「・・・・・っ・・・。」
ケン一が身動きをした。

ハットリは自分のしていることに気付き慌てて唇を離す。
まだ触れていたかったけど。

ケン一が目覚めることはなかったが。

(・・・これではケン一氏に暴行をくわえた者と変わらないでござるな・・・。)


自嘲するような笑みを漏らし、ふとため息をつく。


(愛してる・・・こんなに・・・。)
ケン一への想い。
自分でもどうにもできない・・・愛しい想い、狂おしい想い。 



守ってみせる。




愛しい人を。




そして



誰にも渡さない。










 
To be continued・・・