ふきげん。
「また明日から部活頑張りましょうね。」
「はい〜〜また明日。」
夏の大会、大波乱の1回戦を終えて数日後。
十二支高校野球部、1年女子マネージャー鳥居凪は先程、同1年野球部員猿野天国とその他大勢で祝勝会を遊園地で行い。
分かれた所である。
そして天国たちから数十メートルほど離れた所で。
凪は大きくため息をついた。
「…二人でって思ったのに…。」
本来なら今日凪は天国と二人で祝勝会をする予定だった。
それが待ち合わせ場所に兎丸と虎鉄、そして同じマネージャーの檜ともみじに偶然にも会ってしまい、結果としては大勢での祝勝会となった。
表面上は凪も嫌な顔は出来ず。
「皆の方が楽しい」という虎鉄たちの言葉に、天国も否定をしなかったので。
二人の祝勝会はなくなってしまうこととなった。
「ちゃんと断ればよかったですね…。」
楽しくなかったわけではないけれど。
それでも、凪は天国と二人でいたかった。
凪は初めて会った時から天国に特別な想いを抱いていた。
入部試験前から1回戦まで。どんどん成長し、強くなっていく天国をずっと見つめていた。
そして今回、凪は勇気を振り絞り、祝勝会、という理由をなんとかつけて天国を誘った。
それなのに。
「猿野さんも断らなかったし…私と二人、って嫌だったのかも。」
凪は見当違いな事を思いながらまたため息をつく。
天国も本当は凪と二人でいたかった。
だが兎丸や虎鉄たちの妨害に屈し、凪と一時たりとも二人になることは出来なかった。
彼らは気づいていなかった。
天国の妨害のつもりが、凪をも妨害しており、凪にもかなり辛い想いをさせていたことを。
「もみじちゃんだって…猿野さんと二人でコーヒーカップ(ジョッキ)に乗ったりして…。」
親友すら天国と二人で行動した。
それは天国を凪に近づけさせないためだったが。
「邪魔ばっかり…。」
そんな風に今日のことを考えると。
凪にとって非常に珍しい感情が浮かんできた。
「皆そろって…邪魔ばっかり…。」
むかむかむか。
「頑張って猿野さんを誘ったのに…っ。」
むかむかむかむか。
「許せません。」
ぷち。
「な…凪?」
「あの、凪ちゃん…怒ってる…かも?」
「…………。」
そしてしばらくの間4名に全く口をきかない凪の姿が見られたとか。
END
128発目。つぶされデートの凪ちゃん視点です。
天国は力いっぱい残念がってましたが、きっと凪ちゃんも残念だったんじゃないかなと思って。
せっかく女の子からデートに誘ったのに。(泣)
こてち達はまあ仕方ないとしても、もみじちゃんに檜ちゃん、
凪ちゃんの気持ちも考えてあげましょうよ。守ろうとするばっかりじゃなくてさ。(笑)
もみじちゃんなんか凪ちゃん差し置いて天国と二人でコーヒーカップ(ジョッキだったけど)に乗ると言う素晴らしい特典が!
もみじちゃん視点も書けそうですね…。
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