泣き顔
「蛇神さん…。」
無明眼を使い力を使い果たし…
そして失明の危険を及ぼすほどに傷ついた蛇神の傍に、天国はいた。
「誰だよ、一人で野球すんなとか言ったのは…。」
天国は悔しげに呟いた。
そして、搾り出すように。
大きな瞳から、涙をこぼした。
「バッカやろ…。」
「…目上の者にそのような口を利くものではない。
まったく、主は…。」
「蛇神さん?!気づいてたんですか?!」
天国は驚いて蛇神の顔を覗き込んだ。
「ああ、先程…な。」
「そっか…。よかった…って、アンタなんつー無茶苦茶するんですか!!」
安堵の息を漏らしたかと思うと、天国は急に蛇神につっかかった。
「アンタは!!せっかくケガも治ったばっかりだったのに…!!
また、こんな…!
アンタはこの野球部になきゃダメな存在でしょ?!
…やっとまた一緒に野球できるかと思ったのに…!!」
息をつく暇もなく天国はまくしたてる。
蛇神はそんな天国の言葉を黙って聞いていた。
「…無茶苦茶ばっかり…。」
ひくひくと泣き声を漏らしながら文句を続ける天国に、蛇神は苦笑して言った。
「…主に言われるのは心外だな…。」