誓い
「あ、この曲…。」
「何だい?」
天国は、牛尾と街中でデート中。
世間で大ブレイクしたドラマの曲が耳に入った。
「ほら、これ去年からすげー騒がれてるドラマの曲っすよ。
韓国のやつで主演の俳優がオバさま方にむちゃくちゃ騒がれてて…。」
「ああ、聞いた事があるよ。
今みたいな雪の時期のドラマだそうだね。」
「そうそう!うちのおふくろもすごいハマりようなんすよね〜。
主役の笑顔がいいってポスターまで買い出す始末っすよ。」
天国は苦笑しながらおふくろもミーハーだから、と笑った。
「へえ。そんなにカッコいいのかい?」
牛尾はにっこりと天国に問う。
その笑顔に、天国は少し照れて。
「…主将のほうがカッコいいっす…。」
牛尾にとっては最高の殺し文句を言った。
「…そんな可愛い事言ってると、キスするよ?」
「やめてください。」
牛尾の言葉を天国は速攻で断った。
この人はこんな人前でもやりたいと思ったらやる人だと、天国は認識していた。
その認識は決して間違ってはおらず。
やる気まんまんになっていた牛尾は少しへこたれた。
「傷つくな…。」
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「ところで、さっきのドラマどんな話だっけ?」
先程の会話からしばらくたって先程より人気の少ない公園で、牛尾は思い出したように言った。
「ああ、確か…主人公の女の人が、高校の時に初恋の人と死に別れちゃって…
それで何年かして、幼馴染と婚約したんだけど、それから死んだはずの初恋の人にそっくりな人に会って、
その人が実は生きてた初恋の人で…っていう感じっすね。」
「へえ、詳しいね。」
「見たわけじゃないんすけど、おふくろが全部語ってくれるんでね。
自然に覚えちゃったんすよ。」
「そっか。…それにしても、切ない感じのドラマだね。」
「そうですね〜。忘れられない恋が戻ってくる気持ちとか…。
すげー純愛ドラマっすよね。」
母の熱中する姿と共に、ちらっとみたドラマのシーンを少し思い出して、天国は言った。
「オレもそんな風に恋がしたいかな…。」
その言葉を言ったとたん。