誓い



「あ、この曲…。」

「何だい?」

天国は、牛尾と街中でデート中。
世間で大ブレイクしたドラマの曲が耳に入った。


「ほら、これ去年からすげー騒がれてるドラマの曲っすよ。
 韓国のやつで主演の俳優がオバさま方にむちゃくちゃ騒がれてて…。」

「ああ、聞いた事があるよ。
 今みたいな雪の時期のドラマだそうだね。」

「そうそう!うちのおふくろもすごいハマりようなんすよね〜。
 主役の笑顔がいいってポスターまで買い出す始末っすよ。」
天国は苦笑しながらおふくろもミーハーだから、と笑った。

「へえ。そんなにカッコいいのかい?」
牛尾はにっこりと天国に問う。

その笑顔に、天国は少し照れて。

「…主将のほうがカッコいいっす…。」

牛尾にとっては最高の殺し文句を言った。


「…そんな可愛い事言ってると、キスするよ?」
「やめてください。」

牛尾の言葉を天国は速攻で断った。
この人はこんな人前でもやりたいと思ったらやる人だと、天国は認識していた。
その認識は決して間違ってはおらず。
やる気まんまんになっていた牛尾は少しへこたれた。


「傷つくな…。」


##############

「ところで、さっきのドラマどんな話だっけ?」

先程の会話からしばらくたって先程より人気の少ない公園で、牛尾は思い出したように言った。

「ああ、確か…主人公の女の人が、高校の時に初恋の人と死に別れちゃって…
 それで何年かして、幼馴染と婚約したんだけど、それから死んだはずの初恋の人にそっくりな人に会って、
 その人が実は生きてた初恋の人で…っていう感じっすね。」

「へえ、詳しいね。」

「見たわけじゃないんすけど、おふくろが全部語ってくれるんでね。
 自然に覚えちゃったんすよ。」

「そっか。…それにしても、切ない感じのドラマだね。」

「そうですね〜。忘れられない恋が戻ってくる気持ちとか…。
 すげー純愛ドラマっすよね。」


母の熱中する姿と共に、ちらっとみたドラマのシーンを少し思い出して、天国は言った。


「オレもそんな風に恋がしたいかな…。」



その言葉を言ったとたん。

天国は牛尾に抱き寄せられた。


「う…牛尾主将?!」


「そんな必要はないよ。僕は君を離すつもりはないからね。
 離れて会えなくて忘れなきゃいけなくなるような恋は、僕はしない。

 …させはしない。」

牛尾は天国を抱き寄せる腕に力を込めて。

天国に、そして自分自身に誓うように言った。


「主将…?」
驚いたように自分を眺める天国に。

牛尾はこれ以上ないくらい優しいまなざしを向けた。


「好きだよ。…愛してる。天国…。」


想いを溢れさせるように言葉を紡いだ唇は、そのまま天国の唇に繋がった。


「ん…っ。」



優しくて、情熱的なキスは。

牛尾の熱情そのもので。

天国の心を甘く包み込んだ。



そして、天国が幸せな笑顔で、牛尾を幸せにするまで。


あと、数秒。



                           end


あはははは、何が書きたかったんでしょうね。
文中のドラマとは言うまでもありません。大ヒット韓国ドラマ冬のソ○タです。
これ2年近く前、世間的に大ブレイクする前から我が母が大騒ぎしてました。
ちなみに今も続行中です(笑) 好きなものにのめりこむのは血だな、と改めて思いました。



戻る