強く儚い者たち


エピローグ



「あ、無涯。」

「天国。来てたのか。」



ここは猿野家の…明美の墓前だった。

屑桐が花を携えてくると、既に天国が来ていたのだ。

「ここ…来るの久しぶりだ。」
「オレは最近来たがな。」

あれから数日。
天国もすっかり落ち着いてきた様子で、屑桐の家に久しぶりに遊びに行ったりもした。
屑桐の両親兄弟は共に天国を歓迎し、楽しい時間を過ごす事が出来た。


「報告したんだ、明美に。」

「何て?」


「無涯と仲直りしたよってな。そのまんま。」

「…少し違うだろ?」

「そう?」

「あと、恋人になりましたとな。」

「なっ!!」


天国は屑桐の言葉に真っ赤になって怒ったような顔で屑桐の顔を見上げた。
屑桐は見上げてきた天国の唇に静かにキスする。


「〜〜〜〜〜〜!」

「顔が真っ赤だぞ。」

「…無涯…こーゆーキャラだったっけ?」

「文句を言うな。
 3年分だからな。これからもしっかり返してもらうぞ?」

「な、何をだよ!!」


「さあな。」


屑桐は柔らかく微笑んだ。




そして、そろそろ夕暮れ時である。

「そろそろ帰ろっか。」

「天国。」

「何?」


「抽選会が近い。
 牛尾に伝えておけ。俺たちは必ず勝つ。とな。」


「…俺たちだって負けねーよ。」


「いい度胸だ。」


「あ、そだ。牛尾キャプからも伝言あったんだ。
 これ。渡しといてくれって。」

「ん?」

天国に手渡されたのは小さなカード。


そこには。


「………あのヤロウ…。」

無涯は問答無用で握りつぶした。

「?どうしたんだ?キャプからなんて・・・。」


「なんでもない!!」


(何が「勝負はこれからだからね。両方とも負けないよ?」だ!!あの腐れ坊ちゃんが!!)


「無涯〜!?」


無言で怒りを露に寺の階段を下りていく屑桐に天国は追いかけて行った。




季節は巡り。


強く儚い者たちの


新たな日々が始まる。




                                        end


やった〜〜!!ついに完結しました!!
なんと21話プラス2話というかなりの長編になってしまいました!!
でも終わらせられてよかった!!すっごく嬉しいです!!
この1年このサイトの看板作品(多分)でしたので、喜びもひとしおです!!
そしてなんとか年内に終わりました!!

ここまで読んでくださった皆様には感謝で一杯です。
こんな長ばなしに付き合ってくださりほんとうにありがとうございました!

芭猿もしっかり終えるよう頑張ります!!
                                S.青沢

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