つま先
カツン カツン
「……。」
階段を上りながら、前を上がる猿野天国を見て、ふと御柳芭唐は思い立った。
にやり。
少し嫌な笑みを浮かべて。
「おい猿野。」
「ん?」
天国は御柳の声に、素直に振り向く。
その瞬間、御柳は天国の一段下の階段に立つと。
ちゅ。
「!!!???」
視界に入った唇にキスした。
「いただき。」
「……てめぇ…っ…。」
嬉しそうに楽しそうに御柳は笑った。
「何しやがる!」
「キス。知らねえの?」
「違うだろが!!」
いきなりキスされたのも悔しいが、
段差があって丁度良い高さになった身長差にもムカつく。
多分それに気付いたから、御柳もキスしてきたんだろう。
前につま先立ちで説教したこともあったような…。
ぶつぶつと頭の中で愚痴っていると、御柳は天国の横から階段を上がり。
今度は天国の上の段差にたった。
「んー…やっぱりこっちのがいいんじゃね?」
「あ?何がだ…。」
御柳の意味不明の言葉に天国はふっと顔を上げる。
すると上からぐいっと抱き締め上げられた。
「わ!!」
「うん、やっぱり上から見上げるのが好きだわ、オレ。」
「…あのなあ…。」
男として下からひっぱりあげられるのもどうよ、と言いたかったが。
同じ段差に降ろされ、視線に肩が目に入った時。
背伸びせずにこの肩によっかかるのも悪くないかな、なんて。
思ったりもした。
やっぱ、好きだし。
end
今回は甘党芭猿で…。まだまだリハビリが必要です。
22巻、つま先立ちで説教する天国が可愛くてもう。
この二人の10cm差はやっぱりはずせませんねvv
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