強く儚い者たち 

12



「天国…。」


二人が見たものは

想ってやまない存在と、認められないもの。




「へぇ、じゃあ猿野さんとその屑桐サンて人と3人で仲良しなんだ。」
「そうですよ。特に無涯はすごく野球うまくて・・・。」

「そっか。会ってみたいかも。」


「…そうですね、そのうち・・・。」







天国は、すぐ近くでその二人がいる事を知らなかった。


そして二人の受けた衝撃も、知るすべもなく。


############


「ただいま…。」
「明美?どうしたの、遅かったわね。」
「ん、ちょっとね。…天国は?」
「天国なら、無涯君と1時間ほど前に出かけたけど?」



「え?」





###########

明美が一人帰宅したその頃。
屑桐と天国はある場所にたどり着いていた。
「どーしたんだよ?無涯。いきなりこんなとこまで連れてきて。」
怪訝な顔をして質問する天国。
それは無理からぬ事であった。

屑桐は天国を家の前で待ち伏せており、「来い」の一言のみで有無を言わさず天国を引っ張ってきたのだ。
天国は、屑桐がいささか自己中心的なことは良く分かっていたが、ここまで横暴な態度は初めてだった。
しかもその間一度も天国の目を見ようとはせず、到着した今もそれは同じだった。

だが、天国は警戒はしていなかった。
それほど屑桐を信じていたから。


「天国…。」
屑桐は搾り出すような声で天国の名を呼んだ。
「何?」


無防備な天国。
それは今の屑桐にとっては罪悪にすら感じられた。

今の屑桐の中に渦巻いている想い。
それは。



「天国…今日一緒にいた女は、誰だ?」



嫉妬。



自覚も出来ないほどに強い感情



強すぎてどうにもできないくらいに。





そして天国の中にも、ひとつの波がたっていた。



「あ、見た…んだ。」
豊川といた事を、屑桐に見られた。

別におかしいことじゃない。
彼女といるところを幼馴染に見られただけ。


それなのに何故こんなに波立つのだろう。


まるでそれは  罪悪感



そしてどうして目の前の幼馴染はこんなに辛そうな声をだすのだろう。



天国には分からない事だらけだった。



「答えろ。誰だ…?」


天国は、観念したのか。
それとも。

「学校の先輩…だよ。一週間前から付き合ってる…んだ。」
天国が俯いて出した答え。

それは…

「……………………………。」


「無涯?」


おそるおそる屑桐の顔を見る


「無・・・涯?」


それは天国も、無涯自身も初めてであろう表情。

苦しさ 怒り 悲しみ 妬み 

そんな感情がないまぜになったような。

辛い 表情。



「天国…っ」

天国が屑桐の重い声に気づいた時。


「……ん…っ…?!」


噛み付くように天国は口付けられた。
屑桐自身の熱い…強い想いを全てたたきつけて。



衝撃 混乱 驚愕          


それと 



しばらくしてようやく唇が離れた。
そして屑桐は天国に何かを伝えるために口を開こうとした。

しかし、天国の目は自分を通り越し驚愕の表情を表していた。


後ろを振り向くとそこには




「明美…?!」



                          To be continued…


ざっと1ヶ月たっての更新です。
待っててくださるきとくな方々、本当にすみませんでした!!
この間引越ししたり(前の家の隣ですが)、従妹の結婚式があったりでいろいろあって…。
とまあ、一通り言い訳したところでやっと12話です。(おい!)

やっと過去編の中核にたどり着きました。
後は…最後まで話が決まりましたので、自分の拙い文章力を搾り出す(ほどはありませんけど)のみ…かも。

次かその次で過去編終わりかな?
そうすると…原作に沿って捏造する現在編。あはは、楽しみ。
本気でむちゃくちゃにしてますので、読んでくださる方々お覚悟を!!

つーかはよ書けや、自分…。

ではでは、今日はこの辺で。
読んでくださる方々、いつもいつもありがとうです!!

 

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