彼方へ


第二部
18



ズッ…

「ぐ…ぁ…。」

ヴラディスラウスの剣は、正確に父の心臓を貫いた。
そして、容赦なく剣を抜いた。


「……っ…!」
ヴァレリアス伯は、何かを伝えたそうに口を動かしたが。
見る見る血が溢れ出す口から声を出すことはかなわず。

ヴラディスラウスはその様を視線を外すことなく見つめた。


そして。

父の命が消える瞬間を迎えた。


「……。」
ヴラディスラウスは目を閉じ、また開いた。

そして父の亡骸の傍に寄ると。
父の右手の指輪を外した。


そこにはヴァレリアスの紋章がつけられていた。
それは伯爵家に伝わるもの。

指輪はヴラディスラウスの右手へと、主を変えた。



かすかに、口の端をあげて、ヴラディスラウスは笑った。


「……さあ、宴を始めようか。
 ガブリエル…。」


「……っ…!」


ヴラディスラウスは背後にたどり着いたいとしい天使に、言った。



#######

「あった、これだ!」

その頃、聖騎士団の3人はヴァレリアス城の図書室にある地方の簡易な地図の描かれた絵を見つけていた。

不思議な光により身体の毒を浄化されたのか、
回復したガブリエルに指示されたからだった。


3人のあずかり知らぬことだが、ヨフィエルはマリーに、最後の力を託していた。
それはミカエルからの密命も含まれていた。

もしも、ヴラディスラウスを殺せないのであれば。
かつてルシフェルを封じるために作った巨大な牢獄…氷の城へ閉じ込めるように、と。

鍵は、マリーの身体に託された光から生まれていた。


それは、金色に輝く丸い石の形をしていた。


扉となる場所は、ルシフェルがトランシルヴァニアに現れた数ヶ月前にその地図につなげていた。
また、現れた時のために…と。




「マリー、早く!」
「分かった!」


マリーは急ぎ鍵を地図に叩きつける。
鍵は流れ込むように埋まっていった。


「……!!」


すると。
地図は一面の巨大な鏡と変わった。


#######


「ヴラディス…貴様…。」

怒りと失望の表情を見せるガブリエルに、ヴラディスラウスは笑みを漏らす。

「……お前は本当によく怒る…よく、悲しむ…。
 誰のためにも…だ。」

「……。」

ふ、とヴラディスラウスはガブリエルから目をそらした。


「いちいちそれに嫉妬してしまうくらいにな。」


またくるり、と身体をガブリエルに向けた。


「だがもうそれもお仕舞いにしよう…なあ、ガブリエル?」


チャキ…

「ああ…。ヴラディス…。」


チャキ…



「ひとつ、聞かせてくれ。ガブリエル。」

「何だ…。」



「あの時、最後に言った言葉…真実か?」


「…。」



『ヴラディス…愛してる…。』


ガブリエルの首が、縦に動いたのを、ヴラディスラウスははっきりと見た。

そして、笑みを深くした。



「そうか。」


「…だから……終わらせる…私の手で…。」


「終わりではない。これから…始めるんだ…二人でな…。」

「それはこれが…決める!」



ガキィ!!



剣と剣が激しい音をたてた。



                             To be Continued…



相変わらずこまこまぶち切ってて申し訳ないです。結局1ヶ月ぶりの更新…重ねてすみません。
そして完璧ご都合展開な鏡の扉。
いろいろ考えたんですが結局こういう形しかとれませんでした…うう;
まあ単なる素人のあがき、一笑に伏してくださるのが一番ですv(おい)

余談ですか今回はBGMに氷室京介の「EASY LOVE」をかけました。
これは個人的にこの二人のイメージですね。他にも何曲かあるんですが…。


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