こいあうもの
四 身体に糸が絡みつき君の許へ行けない
朝餉を終えると軍議の時間だった。
大抵の時は幸村と共に食事に向かう政宗だったが。
今日は起こすことはしなかった。
何か理由があったわけではない、ただそうしただけだった。
だがそれが正解であったように思う情報が入ってきた。
「…真田は上杉についた…か。」
真田家。
武田が滅ぼされた後は織田に帰順したと聞いていた。
幸村に悪夢を植え付けた織田に…。
だが、その織田も程なく明智に殺され。
その後真田家の情報はしばらくとぎれていたのだが…。
「上杉っちゃあ、あの軍神が死んでから揉めてたんだったな。」
「は。ご子息で争われたのですが現在は上杉景勝殿が家督を継いでおられます。」
「ふ…ん…。」
上杉。
武田の宿命のライバルだった男。
だが、今はもう次の時代へと受け継がれている。
そして真田も時代の流れの中また一つの場所にたどり着いたのだろう。
しかし政宗は別の事も危惧していた。
分かっていたことだが。
幸村の帰る場所はまだそこにあるのだ。
真田幸村の生きるべき場所が…。
(けど…。)
離したく ない。
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幸村は寝室にて着物を着替えていた。
政宗が用意した上質の衣だった。
幸村は無言で帯を締める。
そこに、声がした。
「…真田幸村。」
ぴくり、と手の動きを止める。
次の瞬間、幸村の背後に音もなく金の影が現れた。
「用向きは。」
幸村は静かに問うた。
「……お前の父が探している…お前を。」
「……。」
幸村は表情を変えなかった。
そのとき、廊下で足音が響く。
金の影は音もなく、また消えた。
次の瞬間、寝室の襖が開く。
「Hey幸村、ちょっとばかし馬に乗るぜ。
今日くれえの雪なら大丈夫だ。付き合え。」
「……ま、さむね殿…強引でござるな。」
幸村はいつものようにいつものごとく、政宗の行動に苦笑した。
そしていつものように。
政宗の手をとった。
いつしか奥州の長い冬は終わりに近付いていた。
To be Continued…
久々にBASARA続編です。
今回は少しだけ史実を混ぜて見ました。
最も今後同じ行動させる気はあまりありませんがvv(おいこら)
幸村を訪問したのは当然あの人です。
かなり好きです、この人vv
場合によっては重要キャラになりそうです。
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