こいあうもの
一 幸せな夢を見させて、せめて眠っている間だけでも
ふと傍にぬくもりを感じて目が覚めるた。
するとそこに彼が居た。
「真田…幸村…。」
彼の眠りは安らかさとは程遠いようだった。
無理もない、声がかれるほどに激しく抱かれて、気を失うように眠ったのだ。
それに、何よりも。
彼は全てを失ってここにいる。
主君も、部下も…全て。
殺したのは織田だった。
だが、死に損ねた彼を無理矢理に連れ帰り、この状態に追いやったのは自分だった。
後悔はしていなかった。
こうでもしなければ彼は殺されたか、自害し果てていただろうから。
死に場所を奪うのは、ライバルとしては最低のことかもしれない。
だが一人の人間として…伊達政宗である前に一人の20にも満たないガキとしての…我がままで。
彼に死なれたくなかった。
…だけど。
「…笑えるぜ…このオレが、怖い…だなんて。」
次に目が覚めたとき、幸村はきっと自分を憎むだろう。
それでもいい、とも思う。
そうして生きていてくれれば…自分を見てくれるなら…。
だけど、怖い。
「なあ…幸村…目が覚めたらオレを憎むか…?」
嫌われたくなかった。
自分を生んだあの女のように見つめられたくなどなかった。
愛してる人に。
「Shit…。」
まだ眠っている幸村は、答えることはなかった。
政宗はその唇に小さく、口付けた。
そして せめて夢の中では幸村が笑ってくれるよう願い。
眠りに付いた。
次の朝に起きたことなど、想像することもなく。
To be Continued…
ついにBASARA始動…なんですが、しょっぱなから根暗な…すみません、ホントに;
ホントは1話完結させるつもりだったのですが、思うところができ連載になります。
お題に沿ってちょっとずつ。
満足のいけるところまで書けたら…いえ、書きます。がんばります;
ではでは。見切り発車が既にくせになってる困り者でした…。
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