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  (ケン一氏…っ!!)
  ハットリは夢子に挨拶する事もなく踵を返すと、一心不乱に走り出した。
 
 
  目指したのは、かつてケムマキが一人暮らしをしていた家だった。
 
  「ケン一氏…無事で…どうか無事で…っ!」
 
 
  
 
  #######
 
 
  「あ…。」
  「気がついたか。」
 
 
  ケン一が意識を取り戻してすぐに見えたのは見慣れない天井。
  
  「ここは…。」
  「オレの家だよ。」
 
  「あっ!!」
  意識を失う前のことを思い出したケン一はすぐに身を起こそうとした。
  しかし。
 
 
  「動けねえよ。金縛りの術をかけてるからな。
   並の忍者でもとけねーくらいにしてるんだ。シロートのお前にはとけねえよ。」
 
 
  動かない。
  手も足も、固まったように。
  いや、かろうじて首から上は動く…。だが。
 
 
  意味は無い。
 
 
 
  「ケムマキ…。何で、こんな…。」
  「…フン。まあお前には直接関係の無い事だけどな。」
 
  
 
  「ハットリだよ。
   …お前なら知ってるだろ。ガキの時から、いろいろつっかかってたしな。
   だが・・・一度もあいつにはかなわなかった。
   それが…どれだけオレにとって悔しかったか…。」
  「ケムマキ…でも…ハットリ君は何度も助けて…。
   君だってキライなんかじゃないって…!」
 
   
  「ガキのたわごとだったんだよ。あんなの。」
 
  言い捨てたのは、冷たい言葉。
  
  大切な思い出の中で仲のよかった友人。
 
 
 
 
  「……ボクだって…君の事…キライじゃなかったよ…。」
  
 
  ドクン
 
 
 
  「……関係ない。オレは…。」
 
  「…こんなことするほど…嫌われてたんだね…。」
 
 
 
 
  「………勘違いするな。
 
 
  キライでもないよ。お前の事は。」
 
 
 
 
  「・・・!!」
 
 
 
  あまりの言葉だった。
  嫌いにもならないと。
  それほどにどうでもいい存在なのだと。
  ケムマキはそう言ったのだ。
 
 
 
  「…ボクは…。」
  「もう止めだ。…お前に話したところで何にもならねーよ。
   それより…カラダ、辛いんじゃねえのか?」
 
 
  そう言うと、ケムマキはケン一のいるベッドに上がった。
  
  「あ…。」
  すっとケン一の首筋に手を伸ばすと、袖に仕込んでいた小型のクナイを手に取った。
 
  そしてそのままクナイを持った手を下に下ろす。
   
 
  ピッ
 
 
 
  殆ど抵抗もなくケン一のシャツは引き裂かれていく。
  ケン一ははっと我にかえった。
 
 
  「…っ!!
  止めろよ!!」
  「……ったく、つくづく往生際悪いな。お前は。」
 
  「ボクなんかどうでもいいんだろ?!好きでも、嫌いですらないんだろう!! 
   だったら何故こんなことするんだ!!」
  「分かってねえな。やっぱり。」
  ケムマキはケン一の言葉にふっと嘲笑の笑みを浮かべた。
  ケン一にはケムマキの言う言葉の意図がつかめない。
 
  「やっぱり…って?」
  「……知らなくていいんだよ。お前はな。」
  
  「ん……っ!!」
  ケムマキはケン一の唇に喰らいつく。
  そしてすぐにケン一の口腔を割ると舌を挿しいれた。
 
  「−−−っ」
  ケン一は必死で抵抗し、顔をそらし唇から逃れようとするが、ケムマキは片手でケン一の後頭部を動かないように固定していた。
  ケン一には到底かなわない力でもって。
 
 
  「は…ぁ。」 
  長い口付けが終わったあと、ケン一はしばし朦朧とし、ベッドにくずおれた。
 
  「フン。」
  (薬が効いてるな・・・。)
  ケムマキはほくそえむ。
  
 
  「無駄話してる余裕なんてなかったんじゃねえの?」
  「あ…なんで…こんな…。」
  ケン一は先程から襲う感覚に戸惑いを感じていた。
  自分とてこの感覚がなんであるか知らないわけではない。
  だが、こんなにも簡単に自分を襲ってくるものではなかった。
  なのに、今はこんなにもカラダが熱い。
 
 
  ケン一がぼんやりと思考をめぐらせている間に、ケムマキはケン一のズボンにクナイを当てた。
  「あっ!!」
  ケン一がそれに気づいたときには、既に下半身の衣服はただの布切れと化していた。
 
 
  「あ〜あ、随分濡れてんなあ?」
  「……っ!」
  ケン一は顔を真っ赤にして、せめて動かせる事の出来る首を動かし、顔をそらした。
 
  
  「素直になれば?
   お前は…すげーやらしいんだよ。」
 
  
  「違…っああ…っ!!」
  否定の言葉は、甘い喘ぎにつながった。
  
  ケムマキが先程から何度もいたぶってきた蕾に無慈悲に指を貫かせたのだ。
 
 
  「もういい加減拡がってんな。
   …これ以上慣らしはいらねえよ。なあ?」
 
  ケムマキはケン一の正面で、冷たい笑みを見せた。
 
 
  「な…何…を…?」
  「お前のカラダがずっと待ってるもんだ。
   今…やるよ。」
 
 
  そういうと、ケムマキは自分の前をはだけ、自らの雄を出した。
  
  
  「い…いや…だ…っ。」
  
 
 
  怯えるケン一を楽しげな眼差しで見つめながらケムマキはケン一の蕾に己のモノをあてがった。
 
 
 
  「いやだああーーーーーーっ!!」
 
 
 
 
 
  
 
 
 
  「ケン一氏!!」
 
  ハットリが勢いよく扉をあけた、そこは。
 
 
  
 
  
 
 
 
  「あ・・・ぁああああっ!!!」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
  空家。
 
 
 
 
 
 
  
 
  叫びは、届かない。
 
 
 
 
 
 
 
 
                                                                     To be Continued…  


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